広場で急の付く操作を行っているうちに、ノーマルのシートでは体を支えきれないことに気が付くだろう。
この、体を支えきれない感覚というのも重要だ。
支えるためにどう踏ん張るのか、体のどこに力を込めてGに抗うのか、そういった経験を重ねることが、挙動を掴むためのセンサーを磨き、ひいては挙動を予測できるようになるからである。
ノーマルシートでも、ブレーキング中やコーナリング中に左足でフットレストを抑え込めばそこそこ支えられる。
しかし、ある程度感覚をつかんだらバケットシートの装着だ。
バケットシートでは左右のGに対して体を強力に支えてくれる。
体が支えられることにより、さらに冷静に車の挙動を分析できるはずだ。
タイヤは前後左右に4つある。限界を迎えたときに、どこのタイヤに一番負荷がかかっているかを意識すること。
例えば、右に曲がれるか曲がれないかぎりぎりの旋回状態で一番踏ん張っているタイヤはどのタイヤか?その状態から加速しようとしたときに駆動力に負けて空転し始めるのはどこのタイヤか?
エンジンがうなり、スキール音の響く非日常に慣れ、冷静に車の動きを観察できるようになれば上等だ。
また、シートについては装着高さや角度の調整もいろいろ試し、挙動の掴みやすいポジションを探ることも重要だ。
筆者は以前、とにかく重心を下げたいと、やみくもに低いポジションに囚われている時期があった。しかし、その状態では限界を掴みづらく、車自体が乗りにくい車だと誤った判断をしてしまっていたことがある。たまたま読んだポール・フレールの著書で、ドライビングポジションはできるだけ高い方がいいと記述されていたため、ものは試しにとドライビングポジションを上げてみると、噓のように車を振り回せるようになった経験がある。
ドライビングポジションに限らず、思い込みを捨て、色々試してみることは新たな発見につながることが多い。
バケットシートの装着について、最近は車検を通しにくくなった印象だ。
シート本体とレールは同一メーカーであることが最低限で、レカロかブリッド製であれば比較的通しやすい。
レカロの場合はHPにてシート本体とレールのシリアルナンバーを入力すると、車検時に提示を求められる可能性の高い保安基準・強度証明関係の資料が無償で手に入る。
念のため車検前には準備しておくことが望ましい。
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