• 免許取得後、初めて手に入れた車。

    とにかくスライドコントロールを学びたくて、ノーマルでLSDが装着されているRSグレードを選択。あまりデフの効きが良くなかったので、あえて165幅のスタッドレスを装着し、限界を極端に下げて走りこんだ。

    スピンもしやすいが、安全な速度域でスライドコントロールを身に着けることができる。

    当然フロントも滑るので、四輪ドリフト状態で、できるだけカウンターを当てずにコーナーをクリアしよう、なんてことも練習していた。

    若気の至りで5ZIGENのスーパーラップという爆音マフラーを装着していた。

    マフラー自体が軽量で、交換作業も容易。3000rpmくらいから音が弾けるように変わる。今はもう作っていないようだが、コンセプトはファイヤーボールというマフラーに受け継がれているようだ。

    マフラー以外はこれといったチューニングはしないまま、足回りもノーマルで走っていたが、ボディ剛性の低さが気になり、2年足らずで売却した。


  • スポーツドライビングでは、必ず出てくるアンダーステアとオーバーステアという単語。

    一般的には、アンダーステアは曲がり切れない状態、オーバーステアは曲がりすぎる状態を指す、となっている。

    ざっくりとした解釈としては間違っていないだろうが、より深く掘り下げて考えたい。

    アンダー、オーバーの発生要因はドライバーの運転操作に起因するものと、車両のセッティングに起因するものがある。

    また、車両の進行方向に対する頭の向きである「自転」、コーナー全体とライン取りで見た「公転」でのアンダー・オーバーは切り離して考えなければならない。

    筆者としては、狙ったラインをトレースできていれば、自転でのアンダー・オーバー姿勢についてはあまり重要視をしていない。

    もちろん、限界スピードを無視してコーナーに進入すれば曲がり切れないし、後輪駆動車でコーナリング中にパワーを急激にかけ、無理やりオーバーステア姿勢に持ち込むようなことをするならば、その結果はドライビングに起因するものといえるが、基本的にアンダーステアとオーバーステアの特性は車両のセッティングでどうにでもできるからだ。

    割とドライビングに原因があるとして、ひたすら練習を重ねがちであるが、乗った印象でアンダーだと思えば車両側をオーバーステアになるようにセッティングしてみる。オーバーだと思えば車両側でアンダーステアになるようにセッティングしてみる。

    ドライバーの感じ方にも個性があるので、同じ車両でもアンダーが強いと思う者もいれば、オーバーが強いと思う者もいる。大事なのは自分にとってのアンダー、オーバーの感覚を定義することであり、それに対処することである。

    左利きを無理やり右利きにするようなことをするよりも、左利きなら左利きに使いやすい道具を作った方が理にかなっている。

    実際、オーバーな特性が好きな筆者と、アンダーな特性が好きな友人、同じ区間を同じクラスの車両で、タイムを競う実験をしたことがある。

    5回ほど走り、勝ったり負けたりだったが最終的なタイムはほぼ同等であった。路面コンディションはドライ、ハーフウェット混在で、所々砂があったり滑りやすい区間もある舗装路で全長5km程のコース。セッティングの方向性が決めにくいシチュエーションだが、両者にとって車両の動きが予測しやすいものであり、コース攻略に集中ができた結果である。予想外の動きをすることも殆どないため、安全でもある。

    誰の言葉だったか忘れてしまったが、「車と格闘していては道と格闘できない、道と格闘することに集中するべきだ」という言葉を見聞きしたことがあるが全面的に賛成している。

    走り方のクセ、路面コンディション、タイヤのコンパウンド、コースの平均スピード等、様々な要因で、アンダー特性の方が走りやすかったり、オーバー特性の方が走りやすかったりするので、ドライビングを見直すことも大切ではあるが、車両側でセッティングすることであっさり走らせにくさが解消することもある。

    速く走らせるためには、よりアクセルを踏める時間が長くなるようにセッティングすると良い。後輪駆動車でパワーをかけるとリアが滑りすぎ、立て直すためにアクセルを戻しているようなら、アンダー方向にセッティングし、前輪駆動車でプッシングアンダーのためアクセルを開けられないようであればオーバー方向にセッティングすれば、アクセルを踏める時間が伸び、タイムアップに直結する。

  • 物理的な観点から、タイヤの限界を探りたい。

    タイヤのグリップ力の限界は摩擦円と呼ばれるもので表される。

    加速・減速方向の縦のグリップ力、コーナリングに使う横のグリップの総和が摩擦力の限界となる。

    グリップの限界を100とすると、縦に100使用している状態では横方向のグリップ力はまったくなくなる。

    ABSのない車両でブレーキロックさせると舵が効かなくなるのはこのためだ。

    では、縦に50使用している時の横方向の余力は50だろうか?

    実は約86使用できる。

    これはグリップの限界の二乗が縦二乗+横二乗という少々ややこしい式で導き出されるためであるが、簡単に言うと、フルブレーキの状態でも、半分ブレーキ力を緩めることができれば、思っている以上に横方向へ使えるグリップが立ち上がるものだ、と覚えておけばいい。

    しっかりブレーキで減速し、徐々に踏力を緩めつつステアリングを切り込み、曲がる力へ移行させる。出口が見えたら徐々にステアリングを戻しつつ加速のための駆動力を与え、真っすぐを向いたら全力加速させる。

    縦から横、横から縦の限界域をなめるように移行させることが、理想的な限界の引き出し方となる。

    逆に言えば、コーナリング中に何らかの要因でブレーキを強くかけたり、急加速しようとすれば、たちまち横方向のグリップ力が急激に失われてしまうことになる。

    縦、横の移行は、机上では、急激なものであってはならない。机上では、というのは、実際のドライビングでは意図的に急激な操作を行うこともあるからだ。

    また、摩擦円自体の大小は荷重のかかり方で変わる。

    摩擦力はタイヤの摩擦係数(普通のタイヤとスポーツタイヤの材質の違い、路面のコンディション等)と掛かっている重さで決まるものだからだ。

    つまり、仕事をしてほしいタイヤには十分な荷重をかけ、タイヤの限界を広げてやる必要があるし、逆にサイドターン等でリアを滑らせたい場合は、サイドブレーキをかける前にフットブレーキを強めにかけ、リアタイヤにかかる荷重をより小さくしてやる必要があるというわけだ。

    このようにタイヤの限界を意識するなら、各タイヤにどのくらいの荷重がかかっているかも意識する必要がある。

    実際のスポーツドライビングでは、タイヤ1本1本ではなく車全体のグリップ力やアライメントを加味して考えなければならないため、単純に机上の理想論を当てはめて、「コーナー進入からブレーキを残し、フロントタイヤに十分な荷重を与え、コーナリング中はフロントの荷重が抜けないようにアクセルを我慢して…」といういわゆる日本式のドライビングテクニックのみではなく、あえて進入後すぐにアクセルを開き、リアタイヤにも荷重を与えて仕事をさせよう、といったような欧州式のバランススロットルという考え方もあるので、1本1本のタイヤの限界のみに確執することのないように注意したい。

  • スポーツ走行以外の、普段の運転でも、車を思い通りに走らせることは案外難しい。

    できるだけ同乗者が不快にならないような運転をすることも、繊細な操作を要求される。

    意外かもしれないが、上達するコツはクラッチペダルをなるべく踏まないこと、半クラッチを極力使用しないことだ。

    ギクシャクするのが嫌で、とりあえずクラッチを切り惰性で進んだり、半クラッチでショックをごまかすような運転は、テクニックを磨く面でも、車の構造的な面でも良いことはない。

    なるべくクラッチペダルを踏まずにギクシャクしない運転を、となると、かなり繊細なアクセルワークと最適なギアの選択が求められる。

    シフトアップ時もスパッと切りスパッとつなげた方が良い。回転があっていないとつないだ時にガクンとショックが出るので、繋ぐタイミングは早くても遅くてもダメだ。

    変速後、クラッチをスパッとつないだ時にショックが出なくなるタイミングをつかもう。

    クラッチを切る際のガクンという前のめりのショックは、わずかにアクセルを残すイメージでクラッチを切れば出なくなる。

    シフトダウン時にクラッチをスパッとつなげたときにショックを出さないためには、つなぐ直前にアクセルを煽ってエンジンの回転を上げてやる必要がある。

    これにブレーキを併用すればヒールアンドトーが完成する。ヒールアンドトーは奥深いため詳しいことは別の回で記述したい。

    また、発進時にアクセルを煽りすぎるのもクラッチ板の消耗を早めることに加え、同乗している者としては音もうるさく不快である。

    社外のエンジンコンピューターでもない限り、アイドリング付近からでも負荷に応じて粘る力が十分あるので、先にクラッチをつなげ、負荷を打ち消すようにアクセルをわずかに開けてやれば、エンジン回転数はアイドリング付近に張り付いたまま最小限の半クラッチで車を発進させることができるはずだ。

    コーナリングについても、切り込む速さと切り戻す速さが同じになるように操作をしたり、できるだけハンドルを切らないようなラインを選んで走ると不快な横揺れ感が軽減する。

    助手席足元に500mlの缶ジュースを立てておき、それが倒れないような運転を目指すと、自然と丁寧な操作が身についてくるだろう。

    実は派手に見えるスポーツドライビング時も、この丁寧さへの意識は変わらない。

    タイヤの限界を引き出すのが上手なドライバーは、普段のゆったりとした移動でも非常に快適な運転をするものである。

  • 広場で急の付く操作を行っているうちに、ノーマルのシートでは体を支えきれないことに気が付くだろう。

    この、体を支えきれない感覚というのも重要だ。

    支えるためにどう踏ん張るのか、体のどこに力を込めてGに抗うのか、そういった経験を重ねることが、挙動を掴むためのセンサーを磨き、ひいては挙動を予測できるようになるからである。

    ノーマルシートでも、ブレーキング中やコーナリング中に左足でフットレストを抑え込めばそこそこ支えられる。

    しかし、ある程度感覚をつかんだらバケットシートの装着だ。

    バケットシートでは左右のGに対して体を強力に支えてくれる。

    体が支えられることにより、さらに冷静に車の挙動を分析できるはずだ。

    タイヤは前後左右に4つある。限界を迎えたときに、どこのタイヤに一番負荷がかかっているかを意識すること。

    例えば、右に曲がれるか曲がれないかぎりぎりの旋回状態で一番踏ん張っているタイヤはどのタイヤか?その状態から加速しようとしたときに駆動力に負けて空転し始めるのはどこのタイヤか?

    エンジンがうなり、スキール音の響く非日常に慣れ、冷静に車の動きを観察できるようになれば上等だ。

    また、シートについては装着高さや角度の調整もいろいろ試し、挙動の掴みやすいポジションを探ることも重要だ。

    筆者は以前、とにかく重心を下げたいと、やみくもに低いポジションに囚われている時期があった。しかし、その状態では限界を掴みづらく、車自体が乗りにくい車だと誤った判断をしてしまっていたことがある。たまたま読んだポール・フレールの著書で、ドライビングポジションはできるだけ高い方がいいと記述されていたため、ものは試しにとドライビングポジションを上げてみると、噓のように車を振り回せるようになった経験がある。

    ドライビングポジションに限らず、思い込みを捨て、色々試してみることは新たな発見につながることが多い。

    バケットシートの装着について、最近は車検を通しにくくなった印象だ。

    シート本体とレールは同一メーカーであることが最低限で、レカロかブリッド製であれば比較的通しやすい。

    レカロの場合はHPにてシート本体とレールのシリアルナンバーを入力すると、車検時に提示を求められる可能性の高い保安基準・強度証明関係の資料が無償で手に入る。

    念のため車検前には準備しておくことが望ましい。

    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    RECARO レカロ RS-GS カムイブラック FIA認証モデル SBR対応
    価格:151,800円(税込、送料無料) (2025/7/26時点)



    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    【中古】 新ハイスピ-ド・ドライビング
    価格:4,496円(税込、送料無料) (2025/7/26時点)


  • さて、スポーツドライビングを始めようと思った時、最適な車種は何だろうか?

    筆者としては、まずはパワーのあまりない車両を乗りこなしてから徐々にパワーを上げていくのが良いという意見だ。

    具体的にはアルトやミラ等のMT車で、ABSがないもの、サスペンションはノーマルでタイヤもローグリップなものが望ましい。

    なぜかといえば、スポーツドライビングは常に冷静に、タイヤの限界を意識した走りを行うことになるからである。

    比較的安全な速度域で限界を迎えることと、何よりパワーに狼狽えて冷静さを欠くことも少ないだろう。

    まずは広い駐車場のようなところで、急加速、急ブレーキ、急ハンドルを試し、タイヤの限界を超えるとどんな動きがするのか試してみると良い。

    自分が思っているより曲がるのか曲がらないのか、止まるのか止まらないのか、イメージと実際の動きのギャップを埋めていくことがまずは第一歩である。

    ギャップを埋めていくうちに、体のセンサーが発達し、そろそろ滑りそうだ、まだ余裕がありそうだというものがわかるようになってくる。

    この限界時の感覚は、後にハイパワー車両へステップアップしたとしても、4つのタイヤが接地している乗り物である以上、変わりのないものである。

    ロールが怖いからと言ってすぐに車高調をつけたりするのはNGだ。ただ固めただけのサスペンションはタイヤの限界付近の感覚が非常にピーキーとなり、タイヤの一番おいしい部分を使う感覚を鈍らせる。

    ロールが怖いうちはまだまだ練習が足りていない。冷静に挙動を分析できるようになるまで向き合う必要がある。